雨の日曜日、久しぶりに映画を見ようと、アマゾンプライムをのぞいてみたら、この「アルピニスト」がお勧め候補にでてきて、予備知識もなく見てみました。
久しぶりに良い映画に出会えたというのが感想です。登山好きの人、そして登山に興味のない方も感動する映画だと思います。
カナダの登山家、マーク・アンドレ・ルクレールを追ったドキュメンタリー映画で、私には馴染みのない方でした。マークは今どきの若者とは一風異なり、携帯を捨ててしまうこともあったり、登頂記録をSNSなどで発信することに興味もなく、お金や名声を求める生き方とは真逆の厭世的な仙人のような人です。
ただひたむきに高みに挑戦する彼の生き方が、胸にずーんと響きます。
幼少期にADHDだったマークですが、彼のお母さんは、学校にじっと座ることを無理強いせず、彼の興味のあるクライミングを好きなだけさせる大らかな育て方。そんな母の支えもあって、こんなに偉業を成し遂げる青年になれたのだと思う。優しく聡明なお母さまです。
「フリーソロ」のオノルド君を見たときにもヒヤヒヤしてエラく驚いたけれど、マークは、氷の滝や、雪・岩・氷のミックス壁をノーロープで登り進んでいきます。
氷がバリっと割れたら、、なんて考えながら観ているとドキドキ、その上、素手で登ったりなんかして、凍傷は大丈夫なのかい?と大阪のおばちゃんは心配しましたが、マークは相当寒さに強い驚くべき身体能力の持ち主のようです。日本人とは体の作りがちょっと違うのかもしれませんね。
単独で山と会話を楽しみながら、第六感で登っているような姿勢が、どこか人間離れしていて、宇宙人のようでもあります。
ラインホルト・メスナーもインタビューで登場していましたね。
名をあげることに興味なく生きていると、偉業を成し遂げても世間に知られず無名のまま終わってしまうこともあると思う。
「名声には大した価値はないんだ、愚直に本物として堂々と存在することに生きる意味があるんだよ」と、マークが教えてくれている気がした。
ほんと、いい映画でした。