双六岳(2860m)からのホレボレ眺望・円空を想う

9月に入っても酷暑の気温ですが、そろそろ涼しくなってほしいと思うこの頃ですね。
今回の登山は、友人のリクエストもあって双六岳に登ってきました。10年前の10月の三連休、初冠雪で双六岳は諦め、鷲羽岳に登ってヘトヘトになり下山したのですが、今回は無事9月1日に登頂できました。

10年前のソロ登山時の自分を思い出して、長かったような短かったような10年でしたが、山頂では感慨深く山々を眺めていました。槍ヶ岳に続く北鎌尾根、西鎌尾根などなど、ドーンと笠ケ岳も間近、そして北には薬師岳、剱岳も見られ、素晴らしい景色でした。

双六岳の名前の由来ですが、古い書物では双六岳を四五六岳と書き、岩場を示す「スゴ」や「ゴロ」と同じ類の地名とのこと。双六谷には、スゴロクの碁盤に似た盤の石があり、神代の頃の話として、神様と天の邪鬼(あまのじゃく)にまつわる伝説が残っているそうです。

また、双六は2つのサイコロを振って、その最大値である6のゾロ目をいかに出せるかが勝負になるため、6のゾロ目という意味で「双六」。最後にスゴロクをしたのはいつなのか思い出せませんが、皆さんはお正月にされていますか?

双六岳は、1690年(元禄3年)に、円空上人が修験道の修行である六峰満行中に飛騨側から登頂しました。(記録上初登頂 by Wikipedia)
円空上人といえばり円空仏で知られていますね。64年間の生涯で12万体あまりの仏像を作ったそうで、なんとも驚くべき数、そして柔和な表情で微笑んでいるような癒しの姿です。


円空上人は修験道で全国の山々を登り、仏像を彫り続けました。そのうちの一つ、十一面観音菩薩立像の裏には円空の手書きで、
乗鞍嶽(のりくらだけ・現在の乗鞍岳) 保多迦嶽(ほだかだけ・現在の穂高岳) 於御嶽(おおだけ・現在の笠ケ岳) 伊応嶽(いおうだけ・現在の焼岳) 錫杖嶽(しゃくじょうだけ・現在の錫杖岳) 四五六嶽すごろくだけ・現在の双六岳)
と書かれているそうです。
(東京国立博物館の、私のイチオシ!円空仏 山に登る円空 「十一面観音菩薩立像」 ブログより)

修験道にて山の霊力をさずかり、民衆を苦しみから救うために、菩薩像、薬師像、不動明王像など、彫り刻み歩いたとのこと。そんな円空さんが登った双六岳で、私も同じ山々が拡がる眺めを見たのですが、円空さんのように仏像を彫ることもできず、ただただ景色に圧倒されて下界へおりてきました。

今回の行程ですが、お昼まで仕事をして、午後から車で大阪を出発し、途中スーパーに寄ったりのんびり移動し、新穂高の駐車場に22時頃に到着。いつも登山者用無料駐車場は満車なので心配していましたが、2~3台の空きが残っていて無事駐車できました。今回の山行の最初の難関は無事突破(^^v、幸先良し、停車して仮眠。翌朝は4時過ぎに出発です。

登山口から1時間ほど進むと、ワサビ平小屋に到着します。以前と変わりなく果物や野菜をこんな感じで販売してくれています。これは下山時に撮影した写真ですが、見た目も涼しく、登山者がバナナなど購入して、喉の渇きをいやしていました。

ワサビ平小屋から3時間半ほどで鏡池に到着します。ほんと、写真映えする絵画のような風景で、槍ヶ岳をほれぼれ見つめます。
鏡平山荘から3時間弱でようやく双六小屋とキャンプ場が見えてきます。遠かったよー。
双六小屋に到着、多くの人で賑わっています。カレーを食べて、いざ双六岳へ!ちなみにカレーは1200円、ビールは自販機あり、600円(350ml)でした。
双六岳山頂から眺めるこの景色、槍ヶ岳に続く滑走路に見立てて、多くの登山者が飛行機のポーズをとって、満面の笑みで写真を撮影しています。私も撮ってみました。
翌日は、夜中発で笠ケ岳に登ってから下山する予定でしたが、友人から「私はやめとく」との声があり(^^;。そもそも私が笠に登りたくて無理やりだったのかと反省です。
無理は禁物、双六小屋から登りと同ルートで下山しました。また次の機会に笠ケ岳をとっておこー。

下山時の弓折乗越でみた朝日が神々しく綺麗でした。
下山時早朝の鏡池、静かで荘厳
快晴の中、一泊二日の双六岳登山を楽しめました。九月に入るとお花は少なめですが、まだまだ夏山の気温で、のんびりと楽しめる時期ですね。円空仏の優しい表情を思い描きながら、円空さんの登った山を登ってみるのも、また一味違った登山を楽しめそうです。
登山道の脇にリンドウがひっそりと。日陰になると直ぐに閉じるので、山では咲いているリンドウを見る機会が少ないですが、この蕾のように閉じているリンドウも好きです。高山では身を守るために、のんびりオープンしてられないのかもしれません。我々人間も、厳しい環境においては、身を守るために引きこもりが必要な時があるものです。
では、また次回のブログで。
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